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部下を育てることに悩んだら…孔子先生に聞こう ~人材育成 お悩み相談室~

「人を育てるのって難しい・・」「もっとA君が素直だったら・・」「部下のBさんって何を考えているか分からないんだよな・・」
後輩育成をする人の多くが、つい呟いてしまった言葉ではないでしょうか。人材育成は、その人の器に応じて育てて、そしてその成長を支える過程です。
皆さんは、儒教の始祖といわれる古代中国の思想家「孔子」をご存知でしょうか?彼の名言を集めた「論語」がまずイメージされる人が多いでしょう。実際に、2,500年以上経つ現在も、あらゆる経営者やリーダーから共感を集めて読み継がれています。

画像
(このイラストの孔子さんの表情に注目。なんだか可愛い)

「人材育成の指針」として今なお受け継がれている孔子の思想。
ここでまずは彼の人生を振り返ってみましょう。
10代:親が亡くなり、孤児として育ちながら彼は必死に勉学に励みます。
20代:魯国の役人として、貨物倉庫の出納係を立派に勤め上げ、後に牧場を管理することになります。
30歳:周の都に行って、勉強に打ち込みます。
その後、孔子は貴族の横暴な政治が横行していた魯の政治を立て直そうと励みますが、あえなく失敗。また政治の世界に舞い戻る……ことはなく、諸国を遊説して回ります。この際に孔子を慕う弟子が続々と現れ、最終的には3,000人もの弟子がいたとも言われています。多くの人の心をつかむ哲学者だったことが分かりますね。¹

そんな人生を送って来た孔子。彼が、魯国の君主のもとで官職を担っていたとき、当時の実力者を誅しました。
すると門人が「なぜあのような名士を排除するのか?」と尋ねたところ、孔子はこう答えたのです⇩

「人に憎むべきものが五つある。泥棒などはその中には入らぬ。
その一つは万事よく気がきいて、実は陰険な人間である。
第二はその行が偏して、しかも頑固なものだ。
第三は言うことが嘘でありながら、良く理屈がたつ人間だ。
第四は、つまらぬことを良く覚えておって、しかも博識な人間。
第五は、悪事をはたらきながら、私恩を売って勢力を持っている人物」

安岡正篤『朝の論語』明徳出版社

つまり「このような人であってほしい」「このような人であってほしくない…」という人間の”両面”を知ると、人物とはどうしてできるかを考えさせられるのです。

幾多の古典に語られてきたことであり簡単ではありません。
人材育成では、人が持って生まれた器や個性をいかに引き出して、仕事の舞台で磨く機会を与えるかが重要です。それが育成の環境条件です。

孔子は15歳で「学に志す」と言っておりますが、その学とはなんだったのでしょう?安岡氏はこう述べています。

単なる知識を求めることではなく、「真の自己を究明しようとする努力、人は如何にあるべきか、如何に為すべきかの究明」これであります。
15歳の人間が求める考え方に驚くと共に、育てる人が”学ぶ意義”を本質的に見い出していく必要があります。満15歳をもって元服させ、一個の人格として世に立たせた古代の慣習は実に当を得てをるといふことができます。

(前出)

育てる人自身が人間をどう観ているかが重要であり、論語の「学を志す」発想は、多様な人材を育てていくうえで必要なことです。

本文の続きは、弊社冊子『先哲に学ぶ人材育成~十二観抄~』よりご覧いただけます。
ここまでご覧いただきありがとうございます。

引用¹:https://www.toyo.ac.jp/link-toyo/culture/confucius