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【偉人に学ぶ人材育成】人材の特性を受入れる”指導方法”~部下をどう見るか~

人材育成は、育てる人の『人間観』によって、人材への対応の仕方が決まります。それが育てられる人の人間観に大きく影響します。

人間をどうとらえるかは、つまりは自己をどうとらえるかに決まります。自己の観方(みかた)を学ぶことは、人材を活かすことにつながります。

人は、自分らしく生きられれば喜びを感じることができますが、「自分らしく生きるとは、どう生きることか」を理解している人は少ないでしょう。
本来的な自己の発掘が必要です。現在、仕事ができている、できていないがゴールではなく、その人の『本来的自己』というものがあります。

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(李卓吾/wikipediaより)

「天があるひとりを生じた以上、おのずからその人に固有の用というものがある」

(李卓吾・陽明学左派)

この一節は李卓吾の言葉です。
中国・明代の思想家で、下級の官を長く務めて、退職後59歳から長く思想家として盛んに活動。陽明学左派の第一人者で、仏教を信じ、純真な心を童心と称して尊びました。
学問に情熱を燃やして、真に生きることに邁進しましたが、世の儒教主義に立つ官僚の偽善を暴露し、そのため迫害を受け、76歳のとき逮捕。獄中で亡くなりました。¹

日本では、「松下村塾」で明治維新で活躍した志士に大きな影響を与えた秀才・吉田松陰が、李卓吾の考えに傾倒しました。

上記は、人は生まれながらにして、その人だけに与えられた使命を持っている、その人を世に誕生させたのには意味があると解釈できます。

人材自身が、その「用」に気づいてほしいのですが、自分の用を知るためには、自分が知ろうと思わない限り知ることはできません。もしくは、生死を左右する難事に出遭って初めて自分は何をしたいのか、なぜ生きているのかを考えて「用」を自覚します。
人間は、三場(土壇場、修羅場、正念場)を経験して一人前になっていきます。苦難の状況下にある人もいると思いますが、これらに遭遇して捨て身で生きる中から己の姿を知るものです。

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(森信三/致知出版社紹介ページ引用)

「われわれ人間にとって人生の根本目標は、結局は人として生をこの世にうけたことの真の意義を自覚して、これを実現する以外にない」

(森信三『修身教授録』致知出版社)

「国民教育の師父」として名高く、86歳まで全国を講演した森信三。
この一節がある著書『修身教授録』は教育界のみならず、数多くの経営者やビジネスマンに影響を与え、現在も感化を与え続けています。

ここでは、人間として生まれたからには、人生の目標は自分の存在意義を理解すること、そして本当に生きがいがあって生まれがいがある日々を送ることが大事である、と説いています。
またこの後に続く言葉として、「そのためには、何よりもまず、自分自身というものについて深く知らなければならない。」とも教えているのです。²

しかしながら、こうも考えます。
以下は、東京大学名誉教授であり、中国学者として数多くの研究業績をのことた溝ロ雄三の講演録からの言葉です。

「本来的な自己、本然の性は見えないものであり、実は、それは見えるものによって隠されています。
つまり本然の性は、本能欲、金銭欲、物質欲、成長欲、社会欲という気質の性で覆われているのです。従って、本然の性を知るためには自己否定と言う自己反省の段階が必要です。」

(溝ロ雄三 東京大学名誉教授講演録)

『本然の性』とは、中国宋代の儒学者の学説で「すべての人が平等に持っているとされる、人間の性格の理念的なありかた」のことです。

つまり、自己否定という”謙虚な心”が、新たな自己を発見して本然の性に近づくということです。

自分の考えと相容れない部下や上司と対峙したときこそ、改めてこの『人間観』というものを思い出して欲しいと思います。
人間をどうとらえるかは、つまりは自己をどうとらえるかに決まります。
人材を指導して活かしていくためには、自己を見直すことが必要なのです。

彼ら先哲は、「ひとりの人間としてどうあるべきか」を教えています。
それを組織の中の一人が学ぶだけでなく、企業こそが正しい人間観を持ちそれを具現化していくことが必要です。

(一部抜粋:弊社冊子『先哲に学ぶ人材育成~十二観抄~』)

<引用>
¹https://kotobank.jp/word/%E6%9D%8E%E8%B4%84-148672
²https://www.chichi.co.jp/info/anthropology/hero/2018/%E6%A3%AE%E4%BF%A1%E4%B8%89/