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【事例解説】”成長”と”生産性”を変える人事マネジメントのコツ

働く場所・時間が多様化して、同時にそれを活用している社員の”価値観”もいろいろです。多様化が進展していくと、コミュニケーションについても新たな課題が生じてきます。あなたは「コミュニケーションのあり方」をどのように考えていくかは明確でしょうか?
多様な通信手段方法の問題だけでなく、コミュニケーションということについての”基本”を管理者が理解しておく必要があります。
つまり顔を会わせていてもコミュニケーションがない弊害もあるし、顔を会わせなくてもコミュニケーションが良好ということがあるのです。そこに現場で管理者が方向付けしていかなければいけない課題があって、7つのフェーズの相互関係性が必要なのです。

”成長”と”生産性”を変える人事マネジメント「7つのフェーズ」

この7つのフェーズの内容の方向性を明確にして、管理者が現場で活用できるように人事マネジメントの軸を”同軸”にして”動態化”することが大切です。
①経営理念・経営フィロソフィのフェーズ
②人事考課のフェーズ
③人材育成のフェーズ
④働き方のフェーズ
⑤コミュニケーションのフェーズ
⑥キャリアのフェーズ
⑦基本行動のフェーズ

詳細はここから➡『強くて優しい会社 ―人と組織の潜在能力を活かす、現場の人事デザイン』(末永春秀)

例1:中堅クラスの離職が多い・・・

別の例で言えば、コミュニケーションの機会もそれなりにあって、人材育成も行われてはいるが、中堅クラスの離職が社員数の割には多いことがあります。離職理由は 「今やっている仕事の将来が先輩や上司を見ていると見出せない」ことです。
キャリアの渇望は、コミュニケーションの機会が多くあっても埋まらないのです。管理者としては、自分なりにコミュニケーションもしてきたはずですが、”キャリア形成”という点では方向付けを共にすることはできていないということです。
このように考えると、部下である社員のこれからについて、その人にとって「何が育成と成長の契機になるか」が簡単には見通せないのが実情です。別の見方をすると、人事のマネジメントでこれから鍵になるのは「個の対応」 (社員一人ひとりへの対応)が求められるということです。これは、社員の成長のために、全社の人事デザインとして考える必要があり、同時に、現場の人事デザインとして具体化する必要があるのです。

例2:考課結果の高い人・低い人がいつも同じ・・・

また別の例では、人事考課の考課基準を改定し運用してみると、考課結果が高い評価の社員、低い評価の社員という結果が、毎期同じように続くことがあります。
この両者の”課題”は全く違うのです。
高い評価の社員は、仕事で成果が出せているので、これからの仕事のあり方が大きな課題となります。つまり、「これからどのような仕事に向かい合っていくか」という意味でキャリアというものが重要になってきます。
低い評価の社員は、職務教育として知識・スキルを見直さなければならないでしょうし、基本行動にも課題があることが考えられます。管理者も何とかしなければいけないとは思うものの、人事考課を繰り返しているだけではこの課題は改善されないかもしれません。
人事考課の結果の高い人・低い人で課題を捉えましたが、一人ひとりの成長のために7つのフェーズが深く関係するのです。これは同時に管理者としての人事マネジメントの課題そのものなのです。

(一部抜粋:「強くて優しい会社 ―人と組織の潜在能力を活かす、現場の人事デザイン』 著者:末永春秀)