末永ブログ
できてるつもりは要注意!根本から改善する”報連相”のコツ
2024年4月17日
「重要なこと」の報告ができているか?
チャットやメールの活用が進んで”報連相”がグッとやりやすくなったという声が聞かれます。その時々で必要な報連相がデジタル文字の応答で進めることができる利点が活かされています。
しかしその反面、報連相の手段は合理的になっていますが、やはり「重要なこと」が抜け落ちることに変わりはないことも多く見られます。実際に起きている問題の原因を辿れば、いわゆる「重要なこと」について報連相があれば防げたと感じることがほとんどです。
つまり「重要なこと」がチームのリスクを防ぐし、それがまたリスクにもなるということは誰でも経験しています。
この「重要なこと」について、部下の理解がズレてしまって報告がされないままになっていることがあります。
理解のズレが起こるケースとは?
▶ケース1
お客様から検討を依頼されて、自分で検討はしても、お客様には伝えていないし社内にも報告していないのです。理由は「お客様から検討してくれと言われたので自分で検討しました。」というようなことです。言葉の意味を改めて教える必要のあるケースです。
▶ケース2
上司が部下の報告内容に真正面から向き合わないために、せっかくの重要性を蔑ろにしていることがあります。例えば、社内に不正がある場合に、それを上司に報告しても上司はその対応が難しいので放置しています。理由は、以前、他の不正の件で上司に報告した時に自分の責任を問われたし、そのようなことを言えるような成績ではないと叱責されたというようなことです。企業不祥事の典型的なケースです。
つまり、部下から報告をしていても”上司の対応自体”に課題があるのです。
例えば、企業の不祥事は部下が事実を伝えていても、それを聞いた上司はさらにその上の上司に伝えても受け入れられないと分かっていれば放置します。つまり、不正が行われていると知って上司に報告をしても、上司の上司がそれを受け入れないことが分かり切っていれば握りつぶすしかないのでしょう。
例えば、「部下から報告はありましたが、それを部長や役員に言える雰囲気ではありませんでした。以前にも報告をして強く叱責されました。」ということです。不祥事を分析した外部委員会レポートによく見られる文言ですし、世界の組織の歴史にもありますし、これからも起き得るのです。
報連相の改善に向けて
報連相は、一般的に部下が報連相を怠ったことが大きな問題の原因になるというように語られることが多いですが、報連相を怠る原因にまで辿る必要があります。要は部下の報告がされていないということは実態としてあります。
この改善は、仕組みや意識などについて教育もできますし失敗事例の一つひとつを学習ケースにして学びながら指導することもできますし、仕事で経験を積む過程で改善もします。
ただ、経験を積むに従って報告しなくなるのも実態です。それだけ仕事ができるようになって来ているという見方もできます。同時に、上司も信頼していますが、案外重要なことをオープンにしていない実態もあります。
この改善のためには、報連相を「対話」のコミュニケーションの一つとして考えることです。そのチームに対話が成り立つ行動、お互いに意見を言える関係づくりの工夫をしていれば極端な報連相のズレは起きません。至極当然のことです。ただ、対話できる風土であっても、その対話の機会そのものが少ない場合にはやはりズレます。理由は、忙しさがその機会を無くしています。やはり、お互いに時間を取る工夫が決め手です。
経営レベルでの報連相ポイント
経営実務としては、問題は、経営者と幹部の間の報連相です。幹部から見た重要ということと経営者から見た重要ということのズレや食い違いは大きな事象です。私から見れば、お互いに言うべきことをきちんと伝え合うシンプルさが肝心と思いますが、これが簡単ではありません。
特に経営者と幹部の報連相を定期的に行っていても現実にはズレはあり得ます。それなのに不定期で報連相をしていれば次第に食い違うのは当たり前です。
経営者は「基本的には任せるが重要なことは報告してくれ」と幹部に言いますが、幹部は「それぐらいは自分で判断するし、それもできないのであれば役職の意味がない」と考えています。
要はお互いの相手への見方の違いがそうさせるのです。「それぐらいの報告ができないのか」、「それぐらいの判断もさせてもらえないのか」、この両者の見方の開きは大きいのです。
お互いに「言えない」「聞けない」が日常になっているのです。
組織の中で本当に対話が必要なのは、この両者です。それが改善されてくればとても大きな効果が出ます。