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【育てた人材が辞めていく…】部下を育てるときに持っておきたい”育成観”

2023年も転職市場は活発化しており、人材獲得の競争は引き続き熱気を帯びています。それと同時に起きているのは育てた人材が退職していくという現実。そこで「なぜ部下を育てるのか?」という根本的な問いかけに対して”アンサー”となる考え方を解説していきます。

まず、企業の上司・部下1,000人を対象に、その関係性や世代間ギャップについての以下の調査結果をご覧ください。

✔ 上司の約8割が「部下を理解したい」としつつも、約5割が「部下の考えていることが分からない」と困惑している。
✔ 上司・部下の約7割が、「価値観が合わないこと」を諦めている。
✔ 感じているギャップの自由回答では…
上司は「反応がうすく真意が分かりづらい」「仕事の範囲に線引きをしている」などの部下の態度に困惑し、部下への「踏み込みづらさ」を感じている様子がみられた。

✔ 上司・部下の約半数がお互いにギャップを感じている。要因の上位5位は「立場」「年齢」「常識」「時代背景」「コミュニケーションのすれ違い」

(引用:龍谷大学心理学部/https://kyodonewsprwire.jp/release/202203299244)

 

こうしたギャップや価値観の不一致、人材育成に悩む姿は、いつの時代も上司と部下の間には存在します。環境や時代がどんなに進化しても、人間同士が付き合っていく上で避けがたい課題なのです。
そのためにも、「育成観」をご提案します。

人材の赤裸々な本質に惑わされない「育成観」

人材育成は、「常に”育成の意味”を問いかけ続ける過程」です。
手塩にかけて育てた人が違う道を選ぶ、あるいは育てた人が立派に成長して自分を超えていく。育成しようとした人のすべてが育つわけではありませんし、育成の労力をかけても実らないときもあります。

そこで、人材育成の「論理→実践→成果」をつなぐ考え方が重要です。育成する人に、いわゆる「哲学」が必要なのです。
人生観が人生の出来事と変化に処していく羅針盤となるように、人を育てるにも人材の赤裸々な本質に惑わされない「育成観」が必要です。
その育成観が、企業の中に展開して一波となり、そして、一企業という枠を超えた万波になり社会に拡がります。

仮に、育てた人が辞めても「これからの人生で役に立ち、世のため人のためになる」という観方が必要です。
ただ、経営の渦中にあれば、そうとばかりも思えませんが、企業が人材を育てることは、社会の有用な人材を育てることに通じるという人材育成哲学こそが、結果として人材を大きく成長に導きます。
なぜなら、 人材を我が私物のように見ない善なる動機だからです。

人材育成は、限りのない果てしなき道です。
人材育成の難しさは、育てる対象となる人の”課題”が多様性に富んでいることです。
成長の変化が極めて少ない人材、育てられることが当たり前と思っている人材、育ててもらうことを待っている人材など多様な現実があります。
育つ人だけを育てる育成ではなく、育ちにくい人も最大限育てることに向かい合うことが「人材育成哲学」です。

(弊社冊子「先哲に学ぶ人材育成~十二観抄~」より一部抜粋)